2018年春蚕 養蚕ワークショップ 6/1、 お蚕上げ

お蚕上げ! 繭を作るための『蔟(まぶし)』にお蚕さんを入れてやる、養蚕のクライマックス的な作業です。

まず、駆けつけた受講生のIさんに東さんから 作業の段取りの説明。

モリモリ食べてまるまる太ったお蚕さんは、その時が来ると体が透けてちょっと身長が縮んだり、うっすらと糸を吐いたりし始めます。

『熟蚕(じゅくさん)』という状態です。この辺では『ずう』とも言います。(2頭のお蚕さんのうち、右が熟蚕、ちょっと黄味がかり体が透けています)

そうすると、待ったなしです。

5/31、東さんから、『明日上がります!』と連絡があり、

ぎょえええええ!明日!? 

ええ、待ったなしですから。

お天気がよく気温も高めの日が続いたためでしょうか、それと稚蚕の時に通常くれるような人工飼料ではなく、桑を刻んだものを与えていたためと思われます。

 

今回、予定していた上蔟日にスケジュールを合わせてくださっていた皆様、本当にすいませんでした。。。

みなさん、事情をご理解いただいていて、とてもありがたいです。

『子供だって予定日に生まれること少ないものね』というお返事が、しみじみ腑に落ちました。

 

 

桑についたお蚕さんを条払い機でふるい落とします。

手で振るう方法もありますが、手が痛くなったり大変です。

 

 

集めたお蚕さんに網をかけると、網をくぐり抜けて上に登ってきます。

そうすることで、フンやゴミを取り除きます。

この方法は、一般的ですが、蚕絲館さんではお蚕さんたちがケガをしたりしやすいのであまりしないそうです。

 

 

ジャーーーーン。

みんな上がりきったかな。

 

 

網をくぐり抜けたお蚕さんたちを、一箇所にまとめます。

 

 

待機中。

みんなワアワアもじゃもじゃ動いています。

まるで花が咲いたようだなあ、と思うのは、言い過ぎでしょうか。

 

 

蔟(まぶし)は通気がよく風通しのよい二階で吊るします。

お蚕さんたちは人力エレベーター(滑車ともいう)で二階へゆきます。

 

 

蔟には約1000頭入ります。

重さを量ったら、蔟へ振り分けて行きます。

 

 

潰れてしまうなど、負傷したお蚕さんからは、こんなマロニーちゃんみたいなものが出てきたりします。

このマロニーちゃんのような物質は、『絹糸腺(けんしせん)』。

これが絹になるのです。

熟蚕が透けて見えるのは、この物質で身体中がいっぱいになっているからです。

そうなると、お蚕さんは吐き出したくてたまらなくなるようです。

 

 

先発組は蔟の中で、繭を作り始めていました。

繭をうっすら作り始めると、体を外に出してうんちとおしっこを絞り出します(写真右)

すっかりきれいな状態になって繭ごもりするのです。

 

 

頑張り屋のIさんは、蚕室の掃除までやっちゃいました。

お蚕さんが食べた桑の残り(廃条)はフンだらけでかさばり、あまりきれいではありません。

黙々と作業をするIさん。トラックに積んで捨てに行きます。

東さんにギューとしまって解けない『もやい結び』を習いましたよ。

 

 

お蚕さんたち、蔟に馴染んできたようです。

そうしたら蔟を吊るしてやります。これは『回転蔟』。

お蚕さんの上に登る習性を利用して作られていま。

上に登ったお蚕さんの重みで蔟はクルンと回転します。

すると、部屋を見つけられなかったお蚕さんたちがまた登り、部屋に入ることができます。

 

 

ミチミチミチ、繭を作る音が聞こえています。

明日には、もう繭ができ始めているでしょうね。