その年は長い梅雨だった。
畑には無数に走るモグラのトンネルがそこかしこに見られた。
トンカラのあるじは、一抹の不安をおぼえた。
『もぐらの痕がある場所は、よくない場所だ』
うろ覚えだったが、なにかでそんな記事を読んだことを思い出した。
やがて、深夜、雨の音にまじって、かすかな音が聞こえるようになった。
外壁の向こうから、カリカリカリカリカリ。
そのうち、二階からも物音が聞こえるようになった。
カタカタカタカタ。
確信した。
うちの生きものがかり(夫)が床の間にいけたコナラ、
何か気配がすると思ったら
ウスタビガの幼虫がついていました。
冬の鹿猟の時に東さんが繭を3つも採ってきてくれたので、
繭は見知っていましたが、本人を見るのは初めて。
その日は朝から気が張っていた。
映画の上映なんて初めてだったし、夜は総勢28名の宴会、
翌日は餅つき。
前年ブータンのお話会を開催した時も定員をはるかに超える
26名の方においでいただき、
立錐の余地なし!!
と申し訳なく思ったのだが、
さらにそれを超える人数。
しかも座卓があって鍋があって酒があって、、、28・・・人?
何度もシュミレーションを描いた。上映が終わったら機材をどけて座卓を出して・・・イヤイヤ上映会場は最初から2階にしようか。
そうしたら宴会の準備がスムーズだよ。それとも宴会が2階がいいかな。
座卓の配置はこうしたら みんな座れるよね・・・
ブツブツと何度も独り言を呟きながら、出現していない会場を目の前に思い描いた。私は気が張っていた。でも言い聞かせた。
始めた時は1人だった。
でも今は優しい旦那さんがいてくれて、手伝ってくれるから、大丈夫! 大丈夫。
『巻き狩りがあるんです』と、Kさんが教えてくれたのは11月の半ばくらいの事でした。
『巻き狩り』は、大勢で獣を追い立てて仕留める猟です。
歴史として漠然と知っていましたが、普通に現在でも行うんだ、と知って、『へー、行ってみたいなあ』とだけ言いました。
すると数日後にKさんは、
『行けるように手配しておきました』
えっ。まだ行くとも行かないとも言ってない。。。
そして、巻き狩りに同行させてもらうことになったのでした。
乗合タクシー。
前日外壁工事にきてくれた家主さんですが、前々から『餅をつこう』と言ってくれていました。
もう、餅つきの季節ではないのですが、
『今年の年末に盛大に餅つくための、予行演習』ということで、餅つき決行!